ネクラ少女は黒魔法で恋をする3






そんなわけで気持ちを整理するために3巻を手に取るわけだけど、執筆するのにえっらい時間かかりそうな文章になってきましたな。いや、この真帆のくどさを意識的にやってるなら見事というほかないんだけど。
とこの論調だと今にも批判するかに見えて、そうじゃない。いや、3巻はよかった。通底させたテーマが胸に響いた。

「わたしに何か話があるの?」
 宮脇さんは小首をかしげる。わたしは小さく深呼吸をして、切り出した。
「悪魔とかに興味ある?」

(p95,96より)

違った。こっちだ。

「わたしの知り合いにさ、ものすごく不幸な子がいるのよ。その子はどれだけ自分に不幸があっても、自分は不幸に慣れてるから、って平気なわけよ。やっぱり、がんばっている子がいたら、自分もがんばらなくちゃって思うよね」
「ふーん」
 夏樹は、どこか納得がいかないように返事をした。
「なによ。あんただって、その子の不幸を聞いたらびっくりするわよ」
「わたし、その人を知らないから、あんまり勝手なことを言いたくないけどさ」
 夏樹はわたしから離れて、ドアの方に向かった。
「なんか、自分のことを不幸だって言い切る人、あんまり好きじゃないかも」
(中略)
「それと!」
 突然、部屋のドアが開いて、夏樹が首だけを出した。
「人のことを、勝手に不幸だって決めつけるのも、よくないよ!」

(p168,169より)

もう、これでこの一冊で言いたいことがぱーっと開けて見えた。全くそこまで考えをめぐらせて読んでいなかったので、いい言葉をもらった。
それはそうと、この「著者語り」のために真帆みたいな子が饒舌になるのもびmy……いや、これで真帆のリアルなきもちわるさを意識的に表現しようとしているなら見事というほか(以下略)。
ああ、夏樹ももちろんOKです。聞いてない。

経験値

メサイアコンプレックス - 人を助けることで「私は幸せ!」感を得ようとして、人を助けずにいられないこと。なるほど、語源メシアだったか。