とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋






また感想ためてもうた……。今度は一箇月越か……。いやー、9巻をあそこで寸止めされているところを、こーいうスピンオフ……というより短編集でくすぐられるのがね! 簡単に各話感想で。それにしても最近とらドラ盛り上がってるなー。あちこちで難しいこと言ってるのを読むのが楽しい。

◇虎、肥ゆる秋

表題作。なんかそこここに見られるマンガの一話みたいなノリ。んで、正直、オチがよくわからなかったお話。なんじゃこりゃというか。『ダイエットをするには!』という問いに対してゆゆぽがどういう答えを出すのかなーと楽しみにしながら読んでいたので、その辺がちょい。
「ダイエットがメインではない」とか、「ゆゆぽにダイエット方が描けなかったこと自体がオチ」でもいいんだけれど、最近は作家を過大評価(というとヤな感じだけど)して感想をしたためるのもかっこ悪いかなーとか思って抑え気味。ただ、作品を読み深めるのは読者でもあり、受け手側もまた作品の良さの度合いを決めるクリエイタの一部であり……とか考え始めるとまたごにょごにょ。
その辺除くと亜美ちゃんストーリィかな。恐ろしいのはメインヒロインをヤバ太らせても許せる作品の空気感か。

◇春になったら群馬に行こう!

援交ふいた。春田KAKEEEEEEストーリィ。この話読むと「春田バカじゃないだろwww」と思える。
で、この感想が大事で、「大きな存在(「大人」にすごく近い概念)になろうとあがく子ども」がとらドラの主題だと捉えている私にとっては、「万能でなかった会長」「あっけらかんと見せかけていたみのりん」「見通せなかった亜美」との対比として、「バカでくくられるバカだってただのバカじゃない」ことを描いたお話として、すごく価値の高い話だったと思います。それとまぁ、「楽しいと思えた高校生活の末路」とか。どんな結末になろうともそれがって辺りはよろしい伏線。重ねた色は9冊分。終わりを描いてくれればそれでいいです(月天とかダブリの4年越しとか)。ところでp100にあすみんが居た気がするのは気のせいでしょうか。

◇THE END OF なつやすみ

二転三転。竜児と大河の扱いはこの巻だとこのまんまなんか?

◇秋がきたから畑に行こう!

と思ったらバリッとメインをはってきたり。台風の日はお話を読むだけでもテンションが上がりますね! 小学生か。

◇先生のお気に入り

常々思うんですが、これ絶対ゆゆぽが書きたいそのものだろww ひいてはこういうでろどろっとした物語、まぁ「ぶんがく」というか、時代時代の人間性をえぐり出すようなもの。ただ、『内臓ご開陳』系統の引き出しを、あとどれくらい持っているんだろう、それともとん、とんと生み出せるタイプなのかな、らへんで決まってくる気もする。そういう部分の評価も高いみたいだし。とらドラの次作が楽しみでしょうがない作家さん。みんな田村くん読めよ!
逢坂くん(仮)というよりは、貴族くんがイメージだった。
教育に携わるものとしてつまらんことを付け足しておけば、内臓に点数を付けることの意義がしょうもない部分だけ常識として定着してる事は申し訳なく感じるし、辛い。改善のない総括的評価ではなく、点数を診断的評価として、また形成的評価として、今回の指導要領改訂のテーマともなっている指導と評価の一体化を、少なくとも自分は心がけなければいけないなぁ、などと思いながら部分を読んでいた。

 誰がどんな夜を過ごしたかは、傍からは窺い知ることはできない。
 窺わせるような真似をしないのもマナーだし、窺ったりしないのもマナーだ。朝がくれば照らし出されてしまう世界で日々の業務を遂行するために、お互い様の精神で、大人たちは夜の秘密を守り抜くのだ。白々しい大人の世界は、そうやってみんなで回していくしかない。
 その機構の片隅に、自分も気づけば組み込まれている。それが幸せなことか不幸なことか、良いことなのか招かざる事態なのかはわからなかった。

(p333,334より)

えぐり出してるえぐり出してる。ふふん。それにしても、「招かざる」なのか「招かれざる」なのか、それも問題だ。前者の方が活用としては確かに合ってるっぽいんだけど。
あと、あんまアレなんだけど、確か初任期間の交通事故は、結構致命的だったと思う(懲戒的な意味で)