花×華(2)


花×華〈2〉 (電撃文庫)
岩田 洋季
アスキーメディアワークス
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とても綺麗なライトノベルだと思う。純粋。
相変わらず涼香てんてーの絵は素晴らしいにもほどがある。お願いですからfengは涼香絵だけで一本ちゃんとつくってくだしあ。でもWGAはかんべんな! (WGAはSugar Potです)


ダブルヒロインライトノベルって少ないんじゃないかなあ。おもしろいよなあ、ダブルヒロイン
ライトノベルの定義は、ヒロインの女の子が、物語上重要な役割を担うことにある」
とはどこかで見た言だけれど、重要な役割を担う女の子が確といて、正規ルートが見えるより、「どっちとくっつくんだろう」という読めなさがある部分は、おもしろみが増しているように思う。そういや幼なじみがヒロインじゃなくなってからどのくらい経つんだろう。
3巻が出るらしいので、このシリーズ、結びでどちらかを選ぶことができたら、すげえなあと思う。ラブレターの出し手は1巻で明かされてしまったので、物語中に幾度も触れられる、「いま」の大切さがつながってきたらすてきだなあ。でも、2巻でキスがありそうでなかったので、もうないんじゃないかな。
efが示されたあとで、「だれをえらぶのか」なんて命題には今さらとらわれるべきではないのだけれど、それはそれ。


作品としては、1巻の読書日記でも書いた気がするのだけれど、おしいものだと感じてる。
とてもとてもきれいなものを切り取ろうとしているのは本当にすばらしいと思う。「いま」を真剣にうつしとろうとする主人公たち映像研の試みは、そのまま岩田洋季氏がこの『花×華』で行おうとしていることそのものだ。
でも、抽象度が高すぎる。すくい取り方が、つたないように感じる。
作中の主役である二人が、あるいは三人が感じる、瞬間の輝きが、読み手にズドンと伝わってこない。
それは、花と華の輝きを、傍点による強調や、夕のリアクションでしか表せていないことにあるように思う。
もちろん、こうした表現、書き表し方が効果的に伝える手段となることもある。でも、それしかないのだ。他の表現がない。伝わってこない。
どれだけ華がすごくて、花のパワーがきらめいているか、おそらく、岩田洋季氏よりも、作中の主人公である夕くんのほうが、より鮮やかに、受け手へと伝えているのだろう。
越えられない壁だ。