"文学少女"と死にたがりの道化






優しく柔らかな空気に包まれる作中人物が、どこまでも澄みとおった筆致で描かれているのがみりきだと感じた。つーか遠子先輩がつるつるかわいい。


これはオマージュの部類に入れていいのだと思う。そして、いや、よかったのだろう。またあいまいな。
「人とズレてるなあ、わたし」ねえ。

 自分はこれからも道化の仮面をつけ、世間を欺いてゆくでしょう。
 けれど、そのことが、前より恥ずかしくはないのです。

ここに至るその境地を、はっきりとくっきりと明文化しないのは、それはそれで、扱った分野から考えれば適当なのかもしれないけれど。
「死にたがり」を突き抜けてもおもしろかったろうな、とは思った。ファミ通文庫の芸風はよくわからないですが。いや、それは作中で否定しているのか。一面で判断するな、と。
しかしこの年、「私は人間として壊れている」「生きるだけで恥の上塗り」「死んで楽になるしかない」と、その境地は片足突っ込むところで留まっていられるなあ。


いや、それにしてもイラスト、どんぴしゃりだわ。