ネクラ少女は黒魔法で恋をする4






おお、脇役たちにスポットの当たった短編集か。夏樹の視点から始まってなんか新鮮だった。「真帆がオキレイ」なこととか、そこここに複数の視点から書かれると読み手の心情的にすっきりと気持ち良いものがありますな。あと、三癒の先輩に、う、腕っ腕ッ、をっ『ぷにむに』してもらうところなど、気持ち良いものがありますな。


ただ、一人称で文章を書くときには、「誰の一人称か」によって文章は書き分けなくちゃいけないと思う。ょぅι゛ょ視点なのに小難しい描写が出てきたり、女性の視点なのにカラダに目がいってたりとかしたりすると、人物に依ることができなくなってしまうから。
その点言うと、まだまだかなー。「中三女子である夏樹」の視点にはなりきれてなかった。出だしが「わたしの耳に忌避すべき呪詛が」で、おーいおいとかおもた。
何度か視点を真帆に譲る箇所(こういうすれ違いの同時進行は好きだけど)もあったけど、書き分けもあんまし。色々な文章を幅広く書けるようになればもっとよくなるんじゃないかなー。あと、あの警官の醜態はないww撃つなよwww
それと、微妙に気になったのはp141の「ちなみに、心配させないために言っておくけど、魔術書は持ってこなかったからね。」という『こっちみんなww』と突っ込みたくなる地の文。うーん、語り手としての語り手口調な作品ではあるけど、ここまで明確に読み手を意識した書きぶりって今までにあったっけ? 違和感がぶわっとしてきたけど、はて、これはどんな効果を狙ったものやら。この距離感は気を付けないといかんな。


そんなところで、まぁ、続く系のシリーズものならよくある、いい感じに停滞したタンペンシューでしたわい。
これは個人的な好みと希望でもあるけど、短編集ってやつは最後の一話に、それまでの数話の内容とつながるような要素を盛り込むとバシッと決まる。
この巻でいえば、

  • 一話……姉妹の話
  • 二話……大河内&雛浦の話
  • 三話……三癒&湊山の話
  • 最終話……みんなで海に行く話

なんだから、最終話に、「一話の後に姉妹で選んだ水着を海では着て、雛浦の内面の変化が外面ににじみ出てて、三癒と湊山の関係が変化した事を感じさせる描写」とかが加わると、読者としては「あぁ、この短編をまとめて読んでよかったなニヤリ」とかできて幸せになったりする。
まぁ、そういう意味では決まらなかった。(えー)
いやいや、それにしたって真帆がやっぱり一番ベロベロしたい娘No.1です。聞いてない。